『働くこと、休むこと
2026/09/17 18:00

左から、アース(Ba)、Mikan(Vo/Gt)
2026年9月10日、台湾の寝具ブランド、SLEEPY TOFUの旗艦店〈SLEEPY TOFU HOUSE〉にて、ゲシュタルト乙女の3rd Full Album『働くこと、休むこと。』の先行試聴会&公開インタビューが開催された。
2026年に結成10周年を迎えるゲシュタルト乙女にとって、約4年ぶりとなるフルアルバム。2024年に発表されたEP『仕事』からさらにテーマを広げ、「働くこと」と「休むこと」、そして一日の時間や人生の変化を「循環」というキーワードで描いた全11曲が収録されている。
今回の試聴会では、参加者が一足先にアルバムを全曲通して聴いた後、Mikan Hayashi(Vo/Gt)とアース(Ba)が登壇。インタビュアーに竹内琢也を迎え、アルバムに込めたコンセプトや各楽曲の制作背景、10年間の活動を振り返りながら、本作がどのように生まれたのかを語ってもらった。
時間の流れ、循環を意識した一枚INTERVIEW : ゲシュタルト乙女
ゲシュタルト乙女の記念すべき10周年を飾るアルバム『働くこと、休むこと。』は、空間を演出するアースのアンビエント的なアプローチでのサウンド・プロデュースが光る一枚。10年のキャリアで培ってきたオルタナティブへの多彩なアプローチで、活動と休息を包括した“生活”に寄り添い、安らぎを与えてくれる仕上がりに。今回使用されたアンプ、Positive Grid「Spark LIVE」は分離の良い明瞭な音でゲシュタルト乙女のサウンドへのこだわりを存分に発揮、〈SLEEPY TOFU HOUSE〉の施設の自然な響きで終始リラックスしながら、贅沢に本作を味わった。

左から、アース(Ba)、Mikan(Vo/Gt)
ゲシュタルト乙女(Gestalt Girl)は、2016年1月に台湾で結成されたロック・バンド。ジャンルにとらわれないサウンドと、日本語で綴られる独自の歌詞世界を特徴とし、台湾と日本の両方で活動を続けてきた。マスロック、デジタル・ロック、シューゲイザーなどさまざまな音楽的要素を取り込みながら、その時々の感性で生活に寄り添う楽曲で注目を集めている。
インタビュー&進行 : 竹内琢也
取材&文:菅家拓真
試聴会を終えた二人は、会場で自分たちの音楽が聴かれることについて「みんなの様子を見ながら自分たちの作品を聴くことができて嬉しい」とMikan。アースも「すごく不思議な感じがする。本当にありがたい」と喜びを語った。
今回のイベントでは、台湾の寝具ブランド「SLEEPY TOFU」の協力もと、旗艦店〈SLEEPY TOFU HOUSE〉で実施された。休息をテーマにしたブランドとの取り組みは、『働くこと、休むこと。』というタイトルとも重なる。
会場に〈SLEEPY TOFU HOUSE〉を選んだ理由は、アルバムが持つテーマとの高い親和性だけではない。もう一つの大きな共通点として、SLEEPY TOFUとゲシュタルト乙女が、どちらも台湾と日本の両方を拠点に活動している存在であるという背景も見逃せないポイントだ。
Mikanは「どう休むかって、普段はそんなに意識しないですよね。SLEEPY TOFU HOUSEのゆるい雰囲気を感じて、休みながら聴いてもらえれば。」と話し、頑張ることだけでなく、休むことについても考えてほしいという、本作の出発点を明かした。
もともとEP「仕事」から本作について考えていたというMikan。「あくまで仕事は人生の一部として、休むことも大切」と語るように、本作では「働くこと」と「休むこと」を対立させるのではなく、その両方を含めた日常そのものを描こうとしている。
「休んだ方がいいとは思うんですが、“働くこと”がネガティブなものと言いたいわけではないんです。私たちがバンドマンをしているように、仕事には自分らしさをみつけるという役割もあると考えています。」とMikanは続け、働くことについての重要性を述べた。一人ひとりの日常、そして仕事に寄り添う作品にしたいと考えたことは、温度感は会場に足を運んだファンにも伝わっているように思えた。

Mikan(Vo/Gt)
本作を語るうえで重要なのが「時間の循環」だ。
アルバムは一日の時間の流れを意識して構成されている。一曲目の“夜 to 日”冒頭のアナウンスは、アースのアイデアで、朝に天気予報を見るような日常のルーティンをイメージしてつくられたものだと語る。
アースは「自分たちの音楽でみんなの生活に寄り添いながら、イメージしやすい場面を作りたい」と語り、そのために時間を意識してアルバムを設計したと説明。
Mikanは2曲目の"副都心"では「出勤するような時間帯、出勤で走っているようなイメージ」をしたという。時間の流れに収まらず、一日の循環を描きながら、それはやがて人生の循環へとつながっていく。続く“苗字”や“恋の新規開発”など、タイトルだけではアルバムのテーマを直接扱っていると思えない楽曲も収録されており、それぞれの制作過程が語られる。
3曲目の“苗字”については、好きな人との曖昧な関係性を描いた恋の歌だと語る。Mikanは「予約表に相手の苗字を書くことになって、そこで曖昧な二人の関係性、相手にとっての自分がどういう存在なのかを考えたのがきっかけなんです。」と説明した。
また“恋の新規開発”は、友人がマッチング・アプリを使ってさまざまな人と会う姿を応援するべく、その様子を仕事の言葉に置き換えて描いたもの。電話対応を思わせる台詞も取り入れ、今後のライブでの演出も見据えて制作された。
「デモができてから相手に許可を取ったんです。がんばりますって言われました(笑)」とMikanが語ると会場は暖かい笑いに包まれた。Mikanにとって、仕事と恋愛は決して別々のものではない。「恋こそ働くこと、休むことでしょう」という言葉からも、本作が“仕事だけ”を扱ったアルバムではないことが伝わってくるだろう。

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