ポイント 成人400名を対象に,自分や他者についての持続的な認知・感情のパターンである「早期不適応的スキーマ」と,他者の感情を調整しようとする働きかけとの関連を検討しました。 その結果,自分のニーズよりも他者のニーズや反 […]
富山大学学術研究部人文科学系の重松潤講師と,福岡県立大学人間社会学部の小林亮太講師は,日本人成人400名を対象とした調査を行い,早期不適応的スキーマ(※1)と,他者の感情を調整しようとする「他者志向の対人感情調整(※2)」との関連を検討しました。
その結果,自分のニーズよりも他者のニーズや反応を優先しやすい「他者志向性(Other-Directedness)」のスキーマ傾向が強いほど,相手が状況を肯定的に捉え直すよう働きかける「肯定的再評価のサポート」や,相手に気晴らしを促す「気晴らしのサポート」を行う傾向が高いことが示されました。
これまで早期不適応的スキーマは,主として本人の心理的症状や,自分自身の感情をどのように調整するかという観点から研究されてきました。本研究は,スキーマが「自分の感情」だけでなく,「他者の感情にどのように働きかけるか」にも関連する可能性を示すものです。
本研究成果は,国際学術誌「Scientific Reports」に2026年8月27日(木)に掲載されました。
※1)早期不適応的スキーマ(Early Maladaptive Schema:EMS)
自分自身や他者,人間関係などについて形成される,持続的な認知・感情のパターンを指します。
スキーマ療法では,こうしたパターンのうち,長期にわたって本人の心理的苦痛や生活上の困難と
関連するものを早期不適応的スキーマとして捉えます。
※2)他者志向の対人感情調整(Other-directed Interpersonal Emotion Regulation)
他者の感情を変化させようとして行う働きかけを指します。例えば,相手に状況を別の角度から捉え直すよう働きかけたり,
感情を表出することを促したり,気晴らしを勧めたりすることが含まれます。本研究では,
「肯定的再評価のサポート」「感情表出のサポート」「気晴らしのサポート」の3つの方略を扱いました。
自分の「スキーマ」は,他者の感情への働きかけにも関係する
―他者を優先しやすい傾向と「捉え直し」「気晴らし」を促す働きかけとの関連―[PDF, 247KB]
Associations between early maladaptive schemas and other-directed interpersonal emotion regulation
著者Jun Shigematsu, Ryota Kobayashi
掲載誌Scientific Reports
DOIhttps://doi.org/10.1038/s41598-026-66836-z
お問い合わせ富山大学学術研究部人文科学系